FPコラム:ピーター・ゼイハン氏の地政学から考える資産形成戦略

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今日は、世界的に注目されている地政学ストラテジスト、ピーター・ゼイハン氏の分析をもとに、私たちの資産形成について考えてみたいと思います。

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「地政学なんて難しそう」と思われるかもしれませんが、実は皆さんの老後資金や子どもたちの将来に直結する話なのです。

日本はこれからどうなる?3つの大きな変化

変化1:人口減少社会の本格化

出雲市でも実感されていると思いますが、日本全体で人口減少が加速しています。ゼイハン氏は日本を「世界初の人口統計的破綻国家」と呼んでいますが、これは決して悲観的な表現ではありません。むしろ「世界で最初に超高齢化社会の課題に取り組むパイオニア」という意味でもあります。

私たちの生活への影響:

  • 国内市場は縮小し続ける(モノが売れにくくなる)
  • 労働力不足で人件費は上昇(特にサービス業)
  • 社会保障費の増大で税負担が増える可能性
  • 一方で、地方の人口減少は加速し、空き家問題が深刻化

変化2:グローバル化の終わりと日本企業の変容

第二次世界大戦後、アメリカが世界の海を守ってくれたおかげで、日本は安心して貿易ができました。しかし、アメリカはもうその役割を縮小しようとしています。

ここで重要なのは、日本企業はすでにこの変化に対応し始めているということです。トヨタ、パナソニック、ソニーなど大手企業は、「日本で作って輸出する」モデルから「現地で作って現地で売る」モデルへ転換しています。

私たちの資産形成への影響:

  • 日本企業の利益の源泉が「国内」から「海外」へシフト
  • 優良企業は海外で稼ぎ、その収益を配当や株価上昇で還元
  • 純粋な「国内需要企業」は厳しい環境に

変化3:日本の国際的役割の拡大

意外に思われるかもしれませんが、ゼイハン氏は日本を「アジアの次なる地域超大国」と位置づけています。中国の人口減少と経済問題、アメリカの関与縮小により、日本が海洋安全保障で主導的役割を担う可能性があるというのです。

私たちの生活への影響:

  • 防衛費の増大(税負担増の可能性)
  • エネルギー価格の変動リスク
  • 一方で、日本の国際的地位向上により経済的機会も拡大

地政学から考える40~60代のための資産形成戦略

では、これらの大きな変化の中で、どのように資産を守り、増やしていけばよいのでしょうか。

戦略1:「グローバル分散」を実践する

なぜ必要か:
日本国内だけに資産を置いておくのはリスクが高まっています。人口減少で国内市場は縮小し、円の価値も長期的には不安定です。

具体的なアクション:

  • 海外株式への投資:つみたてNISAやiDeCoで、全世界株式インデックスファンドや米国株式ファンドを活用
  • 推奨配分例(50代の方の場合)
    • 日本株式:30%
    • 先進国株式:40%
    • 新興国株式:10%
    • 債券等:20%

「海外投資は難しそう」と思われるかもしれませんが、インデックスファンドなら月1万円から自動積立が可能です。

戦略2:「稼ぐ力を持つ企業」に投資する

ポイント:
国内消費だけに依存する企業ではなく、海外で稼ぐ力を持つ企業を選びましょう。

具体例:

  • トヨタ、ホンダ、日産(海外生産・販売比率が高い)
  • ソニー、任天堂(グローバルブランド)
  • 三菱商事、伊藤忠商事(資源・エネルギートレード)
  • ファナック、安川電機(産業用ロボット)
  • 信越化学(半導体材料)

これらは個別株でなくても、TOPIX連動型や日経225連動型のインデックスファンドに含まれています。

戦略3:不動産資産の見直し

不動産事情:
地方の不動産は人口減少の影響を受けやすく、特に相続した実家や投資用不動産の価値下落リスクがあります。

考えるべきこと:

  • 自宅:住み続ける予定なら問題ないが、将来の売却を考えているなら早めの判断を
  • 相続予定の実家:放置すると「負動産」になる可能性。早めに家族で話し合いを
  • 投資用不動産:出雲市内の賃貸需要は限定的。空室リスクを考慮し、保有継続の判断を慎重に
  • REITの活用:物理的な不動産ではなく、都市部オフィスや物流施設のREITで不動産投資

戦略4:エネルギーコスト上昇への備え

ゼイハン氏の分析では、グローバル化の終焉によりエネルギー価格が不安定になると予測されています。

家計防衛策:

  • 省エネ家電への更新:エアコン、給湯器など、古い機器は電気代がかさむ
  • 太陽光発電の検討:出雲市は日照時間が日本海側では比較的安定(年間約1,700時間)。初期投資は必要ですが、長期的な電気代削減効果は大きい
  • エネルギー関連株への投資:石油元売り、LNG関連、再生可能エネルギー企業など

戦略5:「長く働く」ことを前提にしたライフプラン

現実を直視する:
年金支給開始年齢の引き上げ、年金額の実質目減りは避けられません。「65歳で完全リタイア」という従来モデルは見直す必要があります。

具体的なプラン:

  • 70歳まで働くことを想定:健康維持、スキルアップが重要
  • 副業・複業の準備:定年後も収入を得られるスキルや人脈を育てる
  • 健康投資:医療費削減と就労期間延長のため、50代からの健康管理は「投資」と考える

定年後、観光ガイドやゲストハウス経営など、地域資源を活かした「生涯現役」のキャリアも選択肢になります。

出雲だからこそできること

最後に、出雲市に住む私たちならではの強みも忘れてはいけません。

低い生活コスト:
東京や大阪と比べ、住居費、食費が安く、同じ収入でも貯蓄率を高められます。

豊かな自然と文化:
お金だけが豊かさではありません。出雲大社、宍道湖、日本海。質の高い生活環境は「見えない資産」です。

地域コミュニティ:
都会より強い地域の絆は、困ったときの助け合いにつながります。これも「社会関係資本」という立派な資産です。

まとめ:変化を恐れず、賢く備える

ピーター・ゼイハン氏の分析が示すように、日本は大きな変化の時代を迎えています。人口減少、グローバル化の終焉、国際的役割の拡大。これらは確かに課題ですが、同時に新しい機会でもあります。

大切なのは、変化を正しく理解し、早めに行動することです。

出雲の地から、グローバルな視点で資産を分散し、長期的な視点で着実に積み上げていく。そして、豊かな自然と文化に囲まれた質の高い生活を楽しみながら、健康で長く働き続ける。

これが、これからの時代を賢く生きる出雲流の資産形成戦略ではないでしょうか。

ご不明な点や、個別のご相談がございましたら、いつでもお気軽にお声がけください。一緒に、変化の時代を乗り越えていきましょう。


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【この記事のポイント】
✓ 日本は人口減少とグローバル化終焉という大きな変化の中にある
✓ 日本企業は海外で稼ぐモデルへ転換済み
✓ 資産形成はグローバル分散が基本
✓ 地方在住者は生活コストの低さを活かせる
✓ 70歳まで働くことを前提にライフプランを設計

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一般的な情報提供を目的としており、個別の投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

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